大判例

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東京高等裁判所 平成8年(ネ)4433号 判決

いわゆる帰属清算型の譲渡担保においては、債権者が清算金の支払い若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をせず、かつ、債務者も債務の弁済をしないうちに、債権者が、目的不動産を第三者等に売却等をしたときは、債務者は、その時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失い、同時に被担保債権消滅の効果が発生するとともに、右時点を基準として清算金の有無及びその額が確定されるものと解すべきところ(最高裁判所第一小法廷昭和六二年二月一二日判決・民集四一巻一号六七頁)、右にいう目的不動産の「売却等」とは、債権者が当該目的物の所有権を確定的に取得したことを前提とする処分行為を意味するものというべきであるから、第三者に対する売却処分のほか、売却には至らなくとも、社会通念上、当該目的物の所有者でなければすることのできない法律行為を含むものと解するのが相当である。

これを本件についてみると、原判決挙示の証拠及び前記証拠によると、本件根抵当権等の設定は、亡小林實が、平成六年一月七日付の書面で控訴人が平成五年一二月二五日をもって本件不動産の所有権を取得したことを認め、控訴人が、本件不動産の鑑定評価結果(平成六年四月一日付)を得た上で、本訴を提起した(平成六年五月二日)後である、平成六年七月六日付で登記されたものであって、その内容も、債権者株式会社大広エージェンシーと債務者カイザー株式会社との間の継続的商品供給取引契約に基づく債権を極度額一億五〇〇〇万円の限度で物上保証するというものであるから、社会通念上、本件不動産を確定的に取得した所有者でなければすることのできない法律行為と評価するのが相当というべきである。

控訴人は、本件根抵当権等の設定は、転抵当のようなもので、右にいう売却等には当たらないとも主張するが、本件譲渡担保権の設定と本件根抵当権等の設定との関係は、抵当権とその処分に当たる転抵当との関係と異なり、なんら法律上の関連性はなく、被控訴人らが本件債務を弁済したとしても、本件根抵当権の被担保債務が弁済されたことになるものではないから、右の主張は、前提において異なり、採用することはできない。

(淺生重機 小林登美子 田中壯太)

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